私のスタートライン
中学を卒業して、すぐに父の仕事を手伝いはじめた。
手伝いと行っても、15才ができる、かわいい程度だ。
高校は、会社近くの夜間学校に進学が決まり
日中は掃除・洗濯・アイロン、夕方からは女子高生という生活。
青山の骨董通り近くに位置する会社に
新入りの私の部屋が用意されるわけはなく
スタッフルームの一角のデスクが与えられ
デスク下が私のクローゼットとなった。
スタッフルームのソファベッドが、夜は私のベッドになり
洗濯物も夜の間に干していた。
ちいさい頃から、引越しが多かった私は、
それほど私物を持つ環境になかったと言える。
物への執着も少なかったように記憶している。
だからか、そんな生活でも、私は、幸せを噛み締めていた。
これからの人生が、とても眩しいものに見えていた。
人生を振り返る時、いつも、15歳の頃を思い出す。
“あの時の自分に恥ずかしくない大人になる”
ずっと、そう決めていた。
大人になった自分が、15歳の自分に会いに来て、
「これからの人生が最高に楽しいから。楽しみに、頑張るんだよ」と言っている。
そんな映像が私には、見えていた。
大人達に「生活は、どお?」
と聞かれると、私は、
「ありがたいことに、年々、幸せになっているんです。」と、答えていた。
それは、実感もさることながら、
未来へ希望を託す意味でも、子供ながらに思いついた策だった。
15歳。
私のスタートラインだ。